『海に出るつもりじゃなかった』…という感じ(元ネタはアーサー・ランサムで)なのだった。
猫なんか好きじゃなかった。
実家で同居してたおばーちゃんが猫嫌いだったから、その影響かもしれない。
ちなみに、おばーちゃんが猫嫌いになった理由は、泣かす。
むかし戦後まもない頃、ろくに食べ物の手に入らない頃に、
おばーちゃんは苦労して、たいそう苦労して、お魚を(ウナギだったかな)手にいれた。
病気で寝ていた夫(私のおじーちゃんですな)に、
栄養のあるものを食べさせようと…!美談だ!
なのに、
ふと目を離した隙に、
その貴重な魚が、
消えているじゃないか!
そして、わずかに見えたのは
走り去る
どらねこの尻尾…!
そりゃ泣くなあ。私もそんな目にあったら、きっと泣く。
かくして、おばーちゃんは、「おさかなくわえたどらねこ許すまじ」の人となったのです。
実家では、ずっと犬を飼っていました。
犬の忠義心や、まじめな性格は、かわいい。
犬ラブ!
私はそういうふうに育ったのでございました…。
まさか自分が猫と暮らすようになるなんて、
考えてもみなかった。
しかし、今…
何の因果か、足元に猫ふたり。
共に暮らして、十年あまり。
「この十余年に、きみらふたりが一緒にいなかったら、
私は、道の途中で、アイスクリームみたいにふにゃらか溶けて、
いまごろ生きてなかったかもしんないよ。
あぶねえー。
よくぞ私のところに来てくれた!おまえら!」
と思う飼い主。
縁は不思議なのです。