僕らの騒音を呑みくだす戯びに、どうぞ、ようこそ。
僕はスイッチを指で弾くだけの役割であとは冷静に狂った民衆を蔑んで眺めよう。
僕の隣をゆきすぎた眩しい綺麗すぎる白い純白の光芒が斜めにあなたたちに降り注ぐ。
僕は決して狂わずに狂乱するあなたたちをゆっくりと眺めよう。
僕の後ろをゆきすぎた殺伐の塊は世の終わりのような黒。
僕は首をすくめながらあなたたちを漫然と眺めよう。
僕の目の前をゆきすぎる一つきりの影をさあ皆さん存分に喰べ尽くそう。
let’s FxxK IT !
希少価値の生物、こんなものこの場所にしかないからね。
山積した鍵盤の自動演奏、僕たちは余り何も感じずに過ぎていく。
ヒトの鼓動より速い渦、踏みならす黒い影の踵、踊る、光を斬り裂く指先のそのしめす行方を誰の視神経も見切れない、ハハハハハザマアミロ、めぐるめぐる器官、血流、人工音の鎖、死ね死ね死ね死んじまえ魂がないのなら!! 断罪する黒い異常な濡れた両眼が僕たちを生きながらに処刑するからあなたたちの陶酔は生への渇望。叩き殺す熱量、同等にして不可避の救済。hosanna !
なんて子供っぽい生き方でさ。
肉声を嗄らして叫んで教徒たちを操る危ない眼をして狂うあなたの最後の意識を僕の冷たく硬い指が脱がして、スイッチをいれる。
スイッチをいれる。
I’ve got you.
※初出 1997年12月 (商業誌未発表作品)