(画像は省吾です。「省吾ダッシュ」ではなく…)
猫飼いは、猫を見かけたら、挨拶をするクセがついている。
それがご近所の猫でも、旅先の猫でも、知ってる猫でも初対面の猫でも、
「やあやあ!あなたさまは可愛い猫だ、素敵な猫だ、いかした猫だ、ナイスな猫だ!」
「おう。そうだろ」
「もうかりまっか」
「ぼちぼちな」
「ほなまたー。失礼いたしますー」
「ん。達者でのう」
まあこれくらいは基本のご挨拶といえましょう。(そうか?)
しかし昨日、道端で出会った猫は、ちょっと違っていた。
やあ!と私が挨拶をしたら、
「わあああああん!」
突然の大声。
「わああん!わああん!」
初対面の私の足元に寄ってきて、しきりに訴える。
なんだきみ、人間に慣れてるね、ノラじゃないね…どうしたの…どこから出てきちゃったの…
ていうか、あなた、省吾にソックリじゃないですか…
「まさか省吾じゃないよな?」
いやいや、シッポが長くてまっすぐだ。うちの猫はシッポ折れてますから。ああびっくりした…
でもどうして私にむかって突進してきたの。うちに省吾がいること知ってるのか、きみは…(まさかな)
「あーん!えーん!」
大声あげて、省吾ダッシュ(仮名)が、私のあとを追っかけてきた。
「この道は、車が通るから危ないよ!ここで待ってて!」
と言ったけど、人間語は通じないかなあ、だめかなあ、どっか行っちゃうかなあ…
近くのコンビニで猫缶をひとつ購入。
急いで戻ったら、まだいたよ省吾ダッシュ。まだ大声でないてたよ。
「これっくらいしか、できないんだ…。スマン…。まあ、お食べよ…」
「わああもぐわあああんもぐ」
「ないて食べて忙しいな、きみ」
「もぐもぐ、わあん」
きみが、ほんとは迷子でも捨て猫でもなくて、このあと、のうのうと家に帰って、飼い主さんに「どこで余計なごはん食べてきた!」と訝られる…んだったら、いいなあ…
とても、心から、そう願った。
省吾ダッシュの顔をして、私に突進してきたんだから、きみはなかなか相手を見る目があるよ…
「大丈夫か。気をつけてな。じゃあね」
お別れを言ったら、もう、ついてこなかった。