というわけで「小説アーカイヴ」クリスマスイヴ仕様で、2本更新しました。
この2本は、ファンクラブでキャラクター人気投票をやった結果「1位ゲットの人についてミニ小説を書く」という企画をやったら、里見が1位で、ちょっとヤだったな……ごほごほ……いやいやなんでもないよソラミミですよ。
ふたつめの話がものすごく季節限定なネタだったので、本日アップしてしまいました。
(ハルコレ持ってる人にはダブリでスミマセン)
ではでは皆様、よいクリスマスを!
若木未生 official website
というわけで「小説アーカイヴ」クリスマスイヴ仕様で、2本更新しました。
この2本は、ファンクラブでキャラクター人気投票をやった結果「1位ゲットの人についてミニ小説を書く」という企画をやったら、里見が1位で、ちょっとヤだったな……ごほごほ……いやいやなんでもないよソラミミですよ。
ふたつめの話がものすごく季節限定なネタだったので、本日アップしてしまいました。
(ハルコレ持ってる人にはダブリでスミマセン)
ではでは皆様、よいクリスマスを!
星。金色の、星のかたちをした飾りが、樅の木のてっぺんについていて、それがいちばん特別なもののように光を浴びて輝いていたから、あれがいい。
綿でできた雪のイミテーション。順繰りに点滅する豆電球。プラスティックの人形、トナカイ、サンタ。あちこち電気仕掛けで動く。ぴかぴかひかる。透明なガラスごしの世界。ミニチュアの、一家団欒な一軒家、煙突つき。ショウウィンドウの表面に前髪ぶつけて覗いていたら、ワーイと走ってきた子供、どしんと膝に抱きつくみたいに俺の足に来るから、なんだよどうしたのと訊いたら、もじもじ黙る。
(小さいガキ嫌いなんだよ俺ほんとうは)
あのねーいまねーママにねークリスマスのおもちゃかってもらうんだよー。
フーンそっか、よかったな。
うふふ。
得意そうに笑って、ぱたぱた走ってった。
(プレゼントはサンタに貰うんだろ、ママに買ってもらうってどうだよ、間違ってねえのか)
まあ、いいけど。
季節のせいで街が明るいから夜なのにサングラスをかけて待つ。
サンタって、いつのまにか来るからいい。来るのが見えないからいい。来なくてもわからないくらいがいい。サングラスをかけて待つ。ショウウィンドウの華やかな人形達がくるくるまわる動きをながめて待つ。どこかで聖歌隊。道端でコーラスが始まってる。ノエル。ノエル。
「なにがほしいって?」
「あれ」
金色の星を指さして言う。
「……ああ。わかるよ」
「ほしいなー。すっげほしい」
「手に入ると思うよ」
「……言っとくけど、このガラス壊すなよ」
「なら、もっと簡単な手で行こう」
俺のサングラスを引き抜いて、おまえの指、まっすぐ真上を指さした。街の輪郭どおりに切りとられた夜空、真冬の星座。案の定、しらっと言いやがる。
「どれもおまえにやるよ」
「なあそれ最初だれの持ち物だったんだよ……」
バカ、と笑うと白い息が滲んで星が見えない。天に上っていくコーラス。ノエル。ノエル。
M.WAKAGI.
DEADSTOCK
for K.IZUMI&J.SATOMI
※初出 2000年11月 (商業誌未発表作品)
中指で黒鍵を一度。
叱るように一音のみ。
重く意図をもつ音を。
鳴らす。
「リクエストは?」
「ネコフンジャッタ」
「……どうしてもというなら」
「うお。ていうかキサマ弾けるのか猫踏みマーチが!」
「弾けないと困るんじゃないかな、それは。一応、人前でも弾く身として、その難易度のものなら」
「つーか、そうか、俺もきみのサービス精神は買っているのだが、ちと一瞬びびったぞ、
ニコニコして猫を踏む里見君のピアノつーやつは勘弁だ。おお見よ俺の鳥肌を、ぞわー」
「それは西城の感受性の問題だろう」
「まったく俺は天才で困るなあ里見君よ」
「俺は西城を友人に持って困った経験はないつもりだな」
「ああ里見君、ニコニコ笑って心から神に感謝する曲を弾きたまえよ」
「……困った」
「うっはっはっは! ざまをみろ。ふん」
「神はともかくとして、心ばかりの感謝や希望の念くらいなら、俺にもあるよ」
「あるのは当然。なかったら殴るが。出し惜しむのがイカンつーとるのだ日本語の通じない馬鹿め」
「ああ。わかるよ、よく」
薬指。高音のBフラットを奏でて、密かに笑う。
ピアニシモの、透明な。
午後。
M.WAKAGI.
DEADSTOCK
for J.SATOMI
※初出 2000年3月 (商業誌未発表作品)
発売を心待ちにしていたコミックスがゾクゾク出るので嬉しい年末です。
世の中はクリスマス連休だ。みなさま雪と風邪にはご用心の上、楽しいクリスマスをお迎え下さいー。
わたくしは仕事場にひきこもりつつ…ちょっとは祝祭ムードも浴びようかな。お天道様のご機嫌次第だな。
おっと、メガネは直りました。フレームがメキッと曲がっちまって…眼鏡屋さんの美女店長が一目見たとたん「キャアー」と仰せになったが、
でもすぐさま直してくださったよ。店長かっこいいよ。惚れたよ店長。
[プチおしらせ予告]
集英社の携帯小説サイト「ケータイ雑誌ザどくしょ」さんで、昔書いた短編「ゼブラ」を採録してくださるそうです。前回の「赤い蝶」読んでくださった皆様のおかげですーありがたきことですー!
新年1月に配信予定です。配信されたらまたお知らせします。
[小説アーカイヴちょびっとクリスマスバージョン予告]
クリスマスイヴは月曜じゃないけど何か載せよう、だってクリスマスイヴだから。(なんでしょうこの理屈)
年始早々2日は月曜日だけど振り替え休日なのでアーカイヴについてはまだ何も言えませぬ…
9日も月曜だけど国民の休日なので、えーと…臨機応変で。そのとき次第で。
できるときにできることをコツコツとー。
ちなみに今回もコミケは不参加です。またしても、あちこちのお世話になってる方々に御挨拶にゆけず残念ですー。すみませぬー。
どんどんヌルくなっていくよオタクとして。ちぇ。ビッグサイトは、オタク師匠達(複数ね…)におまかせです。土産話をたのしみにしていますわー。
なにかっちゃ開口一番「イズミ早く書いてよ」と言う人がいます。…身内ですが。
わたくしがおろおろと
「おう…書いてるよ…ちみちみと…小銭貯金のように…書きためていますのよ…」
このよーに弱腰に答えると
「小銭貯金じゃなくて最後まで早く書いてよ」
と、ビシッと言ってくれます。お、おうよ…激励ありがとうマイシスター!!
大丈夫!!(何が)
「どーおしーてそんなーにのろいーのかー」と自虐的に歌いながら小銭貯金の日々はつづいた…が。
よっしゃー最近なんだかようやく元気だー!
一日に1円玉じゃないぞー500円玉くらいはー!…あっごめん大口たたいた…ホラ吹きはいけません…
100円玉2個くらいはー!
有志の御方は、イズミ新刊がとっとと仕上がるようにお星様にお願いなどしてやってくださると幸せです。
燃えろオレの小宇宙!
春よ来い!
(…天気予報によると全国的に雪景色みたいですが?)