B/W(クロ/シロ)

 僕らの騒音を呑みくだす戯びに、どうぞ、ようこそ。

 僕はスイッチを指で弾くだけの役割であとは冷静に狂った民衆を蔑んで眺めよう。

 僕の隣をゆきすぎた眩しい綺麗すぎる白い純白の光芒が斜めにあなたたちに降り注ぐ。

 僕は決して狂わずに狂乱するあなたたちをゆっくりと眺めよう。

 僕の後ろをゆきすぎた殺伐の塊は世の終わりのような黒。

 僕は首をすくめながらあなたたちを漫然と眺めよう。

 僕の目の前をゆきすぎる一つきりの影をさあ皆さん存分に喰べ尽くそう。

 let’s FxxK IT !

 希少価値の生物、こんなものこの場所にしかないからね。

 山積した鍵盤の自動演奏、僕たちは余り何も感じずに過ぎていく。

 ヒトの鼓動より速い渦、踏みならす黒い影の踵、踊る、光を斬り裂く指先のそのしめす行方を誰の視神経も見切れない、ハハハハハザマアミロ、めぐるめぐる器官、血流、人工音の鎖、死ね死ね死ね死んじまえ魂がないのなら!! 断罪する黒い異常な濡れた両眼が僕たちを生きながらに処刑するからあなたたちの陶酔は生への渇望。叩き殺す熱量、同等にして不可避の救済。hosanna !

 なんて子供っぽい生き方でさ。

 肉声を嗄らして叫んで教徒たちを操る危ない眼をして狂うあなたの最後の意識を僕の冷たく硬い指が脱がして、スイッチをいれる。

 スイッチをいれる。

 I’ve got you.

※初出 1997年12月 (商業誌未発表作品)

ご健勝でなにより。

某けっこうひさしぶりにご対面した御仁(ていうかオカザキタケシせんせいですよ)に開口一番

「うお、アンタ顔が変わった」

と言われた。

「なんやて!?それは良い意味でなのかワルイ意味でなのか!?」

「んー、年相応の方向に」

くっ。反論の余地がねえ。

気がつけば、とっても長いおつきあいになりました。

『イズミ幻戦記』の1巻目の時点で誰が予想しただろう、この歳月。

しかもなんだか数奇な風味に流転している運命。

今も一緒にお仕事をしていただける、そのありがたさをヒシと噛みしめた。

というわけで岡崎さんと、健闘というか激闘を誓いました。

出すぞ新刊。

春に!

(なので岡崎せんせい、利き腕の小指のケガは無事に治してください)

補足など…?

いや……あの……今週もよくわからないアーカイヴですみません。

大昔のシロモノなので作者的にはヒイイイー(訳・こたつ布団にもぐりこんでかぼそく叫びたいキモチ)……

まあ、なんだその……これもオノレの歩いてきた道だ、笑ってくれい。

そして……風邪に気を付けよう! そんな季節ネタ。(強引だネ)

エクサールは好きな作品なのですが、あれこれのしわ寄せをくらわせて、自分の作品のなかでも不遇な扱いの子にしてしまっていて、胸が痛いのでした。

状況がおちついたら、仕切りなおして、ラストまで書きたいです。

若木 未生
エクサール騎士団(ライエノーツ)〈1〉